今回は、血液のがんである悪性リンパ腫でよく使用される化学療法、「CHOP療法」について解説していきます。
CHOP療法とは?
まず、CHOP療法とは、悪性リンパ腫で最も多い、非ホジキンリンパ腫に対して行われる標準的な多剤併用化学療法です。
C | Cyclophosphamide(=エンドキサン) |
H | Hydroxvdaunorubicin(=アドリアマイシン) |
O | Oncoming(=オンコビン) |
P | Prednisdolone(=プレドニゾロン) |
CHOP療法の流れ
CHOP療法は、21日間を1クールとしています。それを何クールを行うかは、病気のタイプや進行状況によって異なります。
具体的な流れは、以下のようになります。
Day1
①制吐剤(パロノセトロン)投与
→②プレドニゾロン(※内服の場合は点滴なし)
→③アドリアマイシン(約30分)
→④オンコビン(約5分)
→⑤エンドキサン(約3時間)
Day2〜5 プレドニゾロン内服
Day6〜21 休薬
使用薬剤
プレドニゾロン
ステロイドのお薬です。ステロイドは、リンパ球を傷害する効果が期待できることから、リンパ系腫瘍の抗腫瘍薬として、他の抗がん剤と併用して使われることがあります。
また、食欲増進作用や吐き気止めとしても期待できます。
アドリアマイシン
腫瘍細胞のDNAの間に入り込み、その細胞の成長を止めたり、死滅させたりする作用をもちます。赤い色をした薬剤です。壊死起因性抗がん剤(※1)です。
⚠️注意⚠️ 薬剤を投与してから1〜2日の間、尿や汗に色(赤色)がつくことがありますが、自然と戻りますので心配いりません。
オンコビン
細胞分裂に必要な微小管という部分に作用し、腫瘍細胞の増殖を阻害したり、死滅させたりします。壊死起因性抗がん剤(※)です。
エンドキサン
腫瘍細胞のDNAにくっつき、その細胞の成長を止めたり、死滅させたりする作用をもちます。
⚠️注意⚠️ この薬剤は、体のなかで分解され、尿中に含まれて排泄されます。これがうまく排泄されず、膀胱内に長時間溜まると、膀胱に炎症を起こすことがあります。(出血性膀胱炎)
➡︎薬剤を投与してから1〜2日間は、普段より多めに水分を取り、排尿の回数を多くすると良いでしょう。
R-CHOP療法
ここで紹介するのが、CHOP療法にリツキシマブという薬剤を併用して行う、R-CHOP療法です。R-CHOP療法は、B細胞腫瘍に対して良好な成績を上げています。具体的には、CHOP療法を行う前の日に、リツキシマブの投与を行います。
リツキシマブ
●リツキシマブは、最初は少量からスタートし、インフュージョンリアクショ(※2)に注意しながら、徐々に流量を上げて投与していきます。
●2クール目以降からは、患者さんの体調や1クール目の状況をみて流量を上げます。
●中心静脈・末梢静脈どちらから投与する場合でも、輸液ポンプを使用し投与します。(正確に流量を調整するため)
注意する副作用
注意すべき副作用は数多くありますが、特に気をつけるべき副作用について、今回まとめます。それは、骨髄抑制です。
「骨髄抑制」とは、血液を作る工場である骨髄がうまく働かなくなり、白血球・赤血球・血小板などが少なくなってしまうことです。CHOP療法の場合、白血球の減少が最も多く生じます。
白血球減少
白血球は、病原体から身体を守る役割を担っている血液成分です。一般的に、薬剤を投与してから1〜2週間目に白血球減少が起こり、次の治療が始まる3週間後までに回復します。そのため、白血球が減少している時期には、感染予防対策が必要となります。基本的な手洗い・うがい、マスクの着用などをしっかりしましょう。
赤血球減少
赤血球が減少すると、貧血状態になります。めまい・立ちくらみ・息切れ・動悸などの症状に気をつけましょう。
血小板減少
血小板は、血液を固まりやすくする働きを持ちます。血小板が減少すると出血しやすくなったり、出血したものが止まりにくくなったりするので、気になることがあれば、すぐに看護師や医師に相談しましょう。
まとめ
CHOP療法や、R-CHOP療法は、標準的に行われている治療法ですので、ひとつ参考にしていただければと思います。
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