今回は、クローン病患者さんや潰瘍性大腸炎患者さんが特にお世話になっているだろう、「エレンタール」について、クローン病患者目線で解説・紹介していきたいと思います。
エレンタールとは?
まず、エレンタールとは?ということで、解説します。
エレンタールとは、簡単に言うと、お腹に優しい万能栄養剤です。
添付文書には、以下のように記載されています。
本剤は、消化をほとんど必要としない成分で構成されたきわめて低残渣性・易吸収性の経腸的高カロリー栄養剤でエレメンタルダイエット又は成分栄養と呼ばれる。
出典:https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00057258.pdf
「残渣」というのは、身体に吸収されず残ってしまうようなもののことを言います。例えば、根菜類の生野菜やキノコ類、海藻、豆類などです。食物繊維の多い食品も該当します。
すなわち、そういった身体に吸収されにくい、残りやすいようなものが入っていないのがエレンタールです。
摂取方法
エレンタールの摂取方法は、口から摂取する方法と、直接胃や腸に入れる方法があります。
僕のように、腸疾患を持っているけどADLは自立していて日常生活に問題がない方は、主に口から摂取します。
一方で、手術後や、入院中で口からの摂取が難しい場合には、鼻や胃瘻、腸瘻などから投与する方法をとります。
また、副作用については後で詳しく説明しますが、エレンタールは一気に飲むと逆にお腹を下してしまうことがあります。そうならないためにも、少し時間をかけてゆっくり摂取する必要があるのです。
そのため、仕事が忙しい方や、まとまった時間が取りにくい方などは、鼻からチューブを入れ、睡眠時間などを利用して持続的に注入して投与するといった方もいます。
作り方
エレンタールは、粉の状態であり、それを水に溶かして作ります。
1袋に80g入っており、常温の水や微温湯で溶かした後に計300mLになるように作成します(冷水だと溶けにくいためです)。それに必要な水は大体250mLです。
現在は、袋に粉が入っているタイプと、プラスチックのボトルに粉が入っているタイプがあります。
僕はボトルタイプを使用していますが、水を入れてよく振って混ぜるだけなのでとても楽です。どこかに旅行などで出かける時にも、別で容器を用意する必要がないですし、飲み切ったらボトルごと捨てればよいだけなので、非常に便利です。
ただ、保管の面でかさばってしまうのが問題点ですね。
どんな味?
エレンタールには、味をつけるフレーバーがありまして、それなしでは飲めたもんじゃありません笑。どんな味かと言われると表現が難しいですが、とにかく不味いです笑。
そのため、フレーバーを入れて飲む方がほとんどだと思います。おすすめのフレーバーについては、また別の記事で紹介します!
副作用は?
経腸栄養剤であるエレンタールですが、副作用もあります。主に気をつけてもらいたい副作用2つをお伝えします。
下痢・腹痛
先ほど少し触れたように、エレンタールは投与速度が速すぎることで、下痢になったり腹痛が生じたりすることがあります。理由としては、投与速度が速いことによる機械的刺激や、浸透圧による要因など様々ですが、詳しくはまた別の記事で解説します。それを防ぐためにも、少しずつゆっくり飲むようにしましょう。
ただ、ここで注意です。
理由としては、細菌などが繁殖してしまう可能性があるためです。
低血糖
次に注意したいのが「低血糖」です。
エレンタールは高カロリーの栄養剤のため、一気に腸内へ入ることで短時間で身体に吸収され、一時的に高血糖になります。これに反して血糖を下げるためにインスリンが大量に分泌され、逆に低血糖状態になってしまうのです。これを、ダンピング症候群といいます。
症状としては、冷や汗や顔面蒼白、吐き気、嘔吐、めまい、手指の震えなどです。
このような症状が、エレンタールを一気飲みしたときに生じてしまう可能性があるのです。
僕も一度、大学生の時に経験しました。朝、時間がないために空腹状態でエレンタールを一気飲みし授業に行ったところ、授業中にいきなり冷や汗をかいてきて、手指の震えと吐き気が生じました。ポカリとチョコを摂取したら徐々によくなりましたが、凄く焦りましたし大変だっとことを覚えています。注意です。
まとめ
エレンタールは、クローン病や潰瘍性大腸炎の方にとって大事なお薬になります。効果や副作用について知った上で使用してもらいたいと思います。ご参考にしていただければ幸いです。
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